小話
最近まったく映画に触れてないので、今日は映画の小話をひとつ。
日本にはたくさん映画賞があります。日本アカデミー賞やキネマ旬報賞、ブルーリボン賞など(たぶんもっとたくさんあるでしょう)。で少しでも興味ある人は知ってると思いますが、日本アカデミー賞とその他の賞とは顔ぶれがまったく違うのです、毎年。日本アカデミー賞は「大作」と呼ばれる作品が多く受賞していて、いわゆる大味な作品も多数受賞してます。
たとえば2004年度受賞作品をキネマ旬報賞と比較してみます。
・日本アカデミー賞 最優秀作品「半落ち」
ノミネート「隠し剣 鬼の爪」
「スウィングガールズ」
「血と骨」
「世界の中心で、愛をさけぶ」
この受賞作品を見て何か疑問に感じないでしょうか。そう、あのカンヌで話題になった「誰も知らない」が入ってないのです。確かに作品賞を取ったわけではないから別にアカデミー賞をあげる必要はない、と思うかもしれません。ただセカチューよりは確実に優れていると思います。現にキネ旬では↓
・キネマ旬報 ベストテン 1位「誰も知らない」
2位「血と骨」
3位「下妻物語」
4位「父と暮らせば」
5位「隠し剣 鬼の爪」
と「誰も知らない」が1位にランクされています。たしかぶっちぎりで。映画評論家何十人もの支持を得た作品が、日本アカデミー賞においてはベスト5にも入っていないのです。こんな不思議なことってあるでしょうか。セカチューはキネ旬では26位ですから。
ただこれにはカラクリがあって、日本アカデミー賞は東宝・東映・松竹以外の映画作品はノミネートされないのです。だからシネカノン配給の「誰も知らない」やパル企画配給の「父と暮らせば」は視界にさえ入ってない、というカラクリなのです(東宝配給の「下妻物語」がノミネートされてないのは不思議だけど)。
たしか2003年度のキネ旬ベストテンが発表されたとき、世間で少し話題になりました。「知らない映画ばっかり上位にランクインさせてインテリのつもりか!!」と(少々歪曲しています)。実際このランクを見るとそうも言いたくなるかもしれません。
2003年度キネ旬 ベストテン 1位「美しい夏キリシマ」
2位「赤目四十八瀧心中未遂」
3位「ヴァイブレータ」
4位「ジョゼと虎と魚たち」
5位「阿修羅のごとく」
たぶん映画マニアの人以外にとっては知らない映画ばっかだと思われます。僕も上位2作品は見てませんから。で、この年かの「踊る大捜査線2」や「座頭市」、「壬生義士伝」など話題作が多く発表された年でそれらが一つもかすっていないのはおかしいじゃないか、という不満が出たようです。日本アカデミー賞ではそれらがしっかりとノミネートされてました。
ただ僕はキネ旬擁護派です。必ずしもキネ旬のランクが正しいとも思いませんが(というか映画にランク付けなど不可能ですが)、毎日のように映画を見て年間に何百本も見てるといわゆる映画に対して「舌が肥えてくる」んですよ。日本アカデミー賞は年に1,2本しか見ない人にとっては納得のいく賞なのですが、玄人にとってはいまいち納得いかない。つまり賞としてのベクトルが違うわけですね。素人向け映画賞が日本アカデミー賞で、玄人向け映画賞がキネマ旬報ベストテンであるわけです。ただ個人的にはもう少し映画の芸術性を世に浸透させるためにも日本アカデミー賞の地位をあげて、せめて本家アメリカ版アカデミー賞に近づける努力はしてもらいたいです。アメリカではターミネーターやダイハードは賞にかすりさえしないんですから。それがかすっちゃうのが日本なんですね、、、。
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